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スキンケア理論

スキンケアとは?

スキンケアは薬物療法で使用するような強力な薬を使用せず、皮膚のコンディションを良好に保つためのケアです。

実際のスキンケアですることはただ2つ

(1)皮膚の有害物質の除去 (シャンプーによる洗浄)
(2)皮膚への有益物質の添加(保湿剤などの外用)

です。 ただし、皮膚炎の治療はあくまで薬を投与してすべきであり、スキンケアは無症状期の皮膚をいい状態で保つためのものです。スキンケアで皮膚炎を治療しようとすると、多くの場合で殺菌性物質を含んだ製品を使用することになり、ときに刺激性接触性皮膚炎になることがあります。
あるいは肉眼的に皮膚炎が出なくても、長期的に皮膚コンディションを低下させることは避けられません。
また、薬物療法で無症状期を維持しようとすることは薬物の長期投与を意味し、副作用が出てくる可能性が高くなります。
なので、スキンケアを実施するためには、まず皮膚病をきちんと診断して薬物療法によって一度皮膚炎を治さなければなりません。

 

(1)皮膚の有害物質の除去 (シャンプーによる洗浄)

スキンケアに必要なシャンプーとは、まず、目的としている汚れを除去できること。そして生体へのリスクが最小限であることです。
そこで考えるべきことは何を洗うか?何で洗うか?どう洗うか?ということです。

まず、洗わなければならないほど犬がよごれているのか?ということです。汚れているとしたら"どんな物質で"汚れているのかを考えなければなりません
犬の皮膚の代謝はほぼ人と同じで、毎日、古くなった角質層の細胞が剥がれ落ちます。これは人で言うところの"垢"です。この垢は、剥がれ落ちてしまうと考えられていますが、実は体表の油脂や毛にくっついています。見た目が汚れていない犬も、皮膚表面や毛根付近を拡大して見ると大量の汚れがあります。また、犬や人間の皮膚表面にはさまざまな脂質が分泌され皮膚バリアを作っていますが、犬の油脂は人と違って固形成分が多いためにより強力に汚れをくっつけて、さらに多くの毛で覆われているためにそれらがどんどんたまっていきます。はがれた角質細胞、および過剰な油脂、さらに体表に長時間存在した油脂は酸素と反応して過酸化脂質となって、強力な皮膚刺激性物質に変化します。これらすべてが犬体表の"体の中からの汚れ"です。いままでの皮膚科学では、犬体表に体内から出されている物質は、皮膚に必要なものという考え方でしたが、皮膚の重要な働きである"排泄器官"という見方で考えると体表付着物質がときに有害であることを理解しやすいと思います

図 テープストリップで採取された"よごれ" さらに犬体表の油脂と被毛のシステムは、環境中のダニ、微生物、化学物質を付着させます。これらが"外からの汚れ"です。
さらに、皮膚コンディションの悪化した皮膚では"病的な汚れ" が加わってきます。健康な皮膚から分泌される脂質の成分は皮膚バリアに大切なセラミドが多いのですが、脂漏症のように病気の皮膚では、コレステロールや遊離脂肪酸などといった成分が多くなり、皮膚コンディションを悪化させます。また、皮膚炎がある時には皮膚のターンオーバーが異常に早くなったり、汗が出るようになったりして体表に有害物質を溜めてしまう原因になります。

 

(2)皮膚への有益物質の添加(保湿剤などの外用)

スキンケアのための保湿とは、皮膚に有益物質を塗るということです。普通の皮膚病では保湿が有効です。
多くの場合、バリアとして働く油脂と水分を含むためのNMF、ときにある程度の効果を有する化学物質などが添加されます。
現時点では、最も有効な天然保湿成分はおそらくヒアルロン酸であり、バリアに最も有効な油脂はセラミドとスフィンゴシンと考えられます